飲食店の面接は、一般の会社の面接より短く、話題も「いつ入れるか」「ホールとキッチンのどちらか」といった具体的なことが中心です。そのぶん準備のしかたがはっきりしていて、聞かれることを先に知っておけば、落ち着いて答えられます。
ここでは、アルバイトと正社員の両方について、服装と持ち物、よく聞かれる質問と答え方の例、志望動機の例をまとめました。あわせて、面接は働く側が条件を確かめる場でもあるので、聞いておきたい労働条件と、本来は面接で聞かれないはずのことも整理しました。ところどころで、私たちのお店モルゲンで働くスタッフの声も紹介します。
この記事の結論
- 服装は清潔感が第一。アルバイトは清潔な私服、正社員はオフィスカジュアルかスーツが無難です。
- 聞かれることの中心は、アルバイトなら「シフト」と「ホールかキッチンか」、正社員なら「経験」と「これからやりたいこと」です。
- 志望動機は「なぜ飲食か」より「なぜこの店か」を、店の特徴を1つ挙げて話すと伝わります。
- 勤務地・仕事内容・労働時間・賃金などは、雇う側に明示の義務があります。面接や内定の段階で確かめてかまいません。
面接の前に準備すること
面接の前日までに、次の5つを済ませておくと、当日に慌てずにすみます。
- 応募した求人を読み直す。時給・月給、勤務時間、勤務地、応募資格を確認し、気になる点をメモしておきます。複数のお店に応募していると、条件を取り違えやすくなります。
- 週に何日・何時から何時まで入れるかを決める。テスト期間や帰省など、入れない時期も先に書き出しておきます。アルバイトの面接ではほぼ必ず聞かれます。
- ホールとキッチンのどちらを希望するかを決める。どちらでもよい場合は、その理由も一言で言えるようにしておきます。
- お店に行くか、メニューと公式サイトを見ておく。志望動機と逆質問の材料になります。料理や飲み物の特徴を1つ言えるだけで、話しやすくなります。
- 場所と時間を確かめる。営業中の店で面接することも多いので、入口や声をかける相手を確認し、5分前に着くように出ます。オンライン面接なら、通信と音声を前日に試しておきます。
居酒屋のアルバイトそのもの(仕事内容やシフトの組み方)については、居酒屋バイトの記事にまとめています。この記事では面接に絞って説明します。
服装と持ち物
飲食店の面接で見られるのは、高い服かどうかではなく清潔感です。食べ物を扱う仕事なので、爪・髪・服の汚れは特に目に入ります。
| 項目 | アルバイト | 正社員 |
|---|---|---|
| 服装 | 清潔な私服。襟付きのシャツやブラウスに、きれいめのパンツやスカート | オフィスカジュアルかスーツ。指定があればそれに従う |
| 避けたい服 | ダメージの大きいデニム、部屋着に見えるTシャツやスウェット | 私服でよいと言われても、ラフすぎる服 |
| 髪・爪 | 髪はまとめるか整える。爪は短く清潔に | 同じ。調理の実技がある場合は特に爪と髪を整える |
| 持ち物 | 履歴書(求められた場合)、筆記用具、スケジュールが分かるもの | 履歴書・職務経歴書(求められた場合)、筆記用具、スケジュールが分かるもの |
| あると安心 | 印鑑、身分証、交通費の分かるメモ | 資格の証明書の写し(ソムリエ、食品衛生責任者など) |
履歴書が要るかどうかは、お店によって違います。応募の連絡で何も言われていなければ、事前に聞くか、念のため持っていきます。
髪色やネイル、ピアスの決まりもお店ごとに違います。モルゲンの場合、働くときの決まりは、髪型・髪色は自由、ピアスは垂れ下がるタイプなら3cm以内、ネイルは異物混入を防ぐためパーツ付きは不可で長さは1cm以内です。気になる場合は、面接の前に応募先へ確かめておくと安心です。
よく聞かれる質問と答え方の例
面接の質問には、それぞれ確かめたいことがあります。答えは長く話すより、結論を先に、短くが基本です。
アルバイトの面接
| 質問 | 確かめたいこと | 答え方の例 |
|---|---|---|
| 週に何日、何時から入れますか | シフトが組めるか | 「週3日、平日は17時から22時まで入れます。土日はどちらか1日なら終日大丈夫です」 |
| ホールとキッチン、どちらを希望しますか | 配置 | 「接客をしてみたいのでホールを希望します。人手が足りないときはキッチンも手伝えます」 |
| いつから働けますか | 開始日 | 「来週の月曜日から入れます」のように日付で答える |
| テスト期間や長期休みはどうなりますか | 繁忙期と学業の両立 | 「テストの2週間前は週1日に減らしたいです。夏休みは週4日入れます」 |
| 飲食店で働いた経験はありますか | 教える範囲 | 経験があれば店の種類と担当を、無ければ「接客は初めてですが、部活で後輩に教える役をしていました」など近い経験を |
| 遅い時間まで働けますか | 深夜の可否・帰り方 | 「終電が23時40分なので、23時までなら入れます」。18歳未満は原則として22時から翌朝5時まで働けない(労働基準法第61条)ので、年齢を正直に伝える |
| 通勤時間と手段は | 通いやすさ | 「電車で20分です」 |
正社員の面接
| 質問 | 確かめたいこと | 答え方の例 |
|---|---|---|
| これまでの経験を教えてください | 何を任せられるか | 店の業態・客単価・席数・担当(仕込み、焼き場、ドリンク、シフト作成など)を具体的に |
| なぜ転職を考えたのですか | 同じ理由で辞めないか | 前の職場を悪く言わず、「〇〇をもっとやりたい」と次に向けた言い方にする |
| なぜ当店なのですか | 志望の本気度 | 次の「志望動機の例」を参照 |
| 3年後にどうなっていたいですか | 長く働く見通し | 「店長として、数字とスタッフの育成を任される立場になりたい」など役職や役割で |
| 仕事で失敗したことと、その後どうしたか | 振り返る力 | 失敗の内容より、その後に何を変えたかを中心に |
| 数字(売上・原価・人件費)を見たことはありますか | 店長候補として | 見た経験があれば何を改善したか、無ければ学ぶ意欲を |
モルゲンでは、アルバイトは週2日・1日3時間から、希望シフト制で募集しています。未経験の方も応募できます。
志望動機の例
志望動機は、「飲食店で働きたい理由」と「このお店を選んだ理由」の2つでできています。前者だけだとどの店にも言える話になるので、お店の特徴を1つ挙げてつなげます。「家から近い」「時給が良い」が本当の理由でもかまいませんが、それだけで終わらせず、何をしたいかを一言足します。
実際、モルゲンで働くスタッフの応募のきっかけも、身近なものです。
求人を見ていて、お店が綺麗・家から近かったことが魅力的で応募を決めました
— 池袋店アルバイト・佐藤杏香さん(2025年7月のインタビュー、全文)
| こんな人 | 志望動機の例 |
|---|---|
| アルバイト・接客をしてみたい | 「人と話すのが好きで、接客の仕事をしてみたいと思っていました。こちらのお店は料理を一品ずつ説明していると知り、料理のことを覚えながら接客できる点に惹かれました」 |
| アルバイト・料理に興味がある | 「家で料理をするのが好きで、仕込みからお店の料理を学びたいと思いました。魚をさばく作業にも挑戦してみたいです」 |
| アルバイト・通いやすさが決め手 | 「大学からの帰り道にあり、授業のあとに続けて通えるので、長く続けられると思いました。週3日は安定して入れます」 |
| 正社員・経験者 | 「居酒屋でホールを5年担当してきました。客単価の高いお店で、料理と酒の説明までできる接客を身につけたいと考え、日本酒やワインに力を入れている御社を志望しました」 |
| 正社員・未経験から | 「前職は営業でしたが、学生時代の飲食店のアルバイトがいちばん楽しかった仕事でした。お客様と直接向き合う仕事に戻りたいと考え、未経験でも挑戦できる御社を志望しました」 |
例文はそのまま使うより、自分の言葉に置き換えてください。面接官は、応募した人がそのお店のことをどれだけ知っているかを見ています。
「正社員・未経験から」の例に近い道で、モルゲンに入った人もいます。インタビューの時点で横浜店の店長を務めていた野々村さんの話です。
”これまでで一番楽しかった仕事は何だろう?”と考えました。その答えは、学生時代の居酒屋アルバイトでした。…”アルバイトだから楽しかった”のではなく、“お客様の喜ぶ顔を目の前で見られること”にやりがいを感じていたのだと気づき、26歳で未経験の飲食業界へ飛び込む決断をしました。
— 横浜店店長・野々村瑳希さん(2026年2月のインタビュー、全文)
面接する側が見ているのは、経験の長さだけではありません。モルゲンのマネージャーは、一緒に働きたい人をこう話していました。
飲食店好き・接客好きの方にきて欲しいです!技術も大切ですが、まずは技術問わず「お客様楽しませたい」という気持ちが強い方と一緒に働きたいですね。
— モルゲン事業部マネージャー・杉本大輔さん(2025年7月のインタビュー、全文)
逆質問の例と、確かめるべき労働条件
面接の最後に「何か質問はありますか」と聞かれたら、働き始めてから困らないための確認に使えます。聞きにくいことほど、入ってから「話が違う」になりやすいところです。
逆質問の例
- 「最初の1か月は、どんな仕事から覚えていきますか」
- 「シフトはいつまでに、どうやって出しますか」
- 「時給(給与)はどういうときに上がりますか」
- 「合否のご連絡は、いつごろ、どの方法でいただけますか」
- (正社員)「残業は月にどのくらいありますか。実際の数字があれば教えてください」
- (正社員)「店長になるまでに、どんな段階がありますか」
給与や残業のことを聞くのは失礼ではありません。次に説明するとおり、雇う側には労働条件をはっきり示す義務があります。
雇う側が示さなければならない労働条件
労働基準法第15条は、雇う側は労働契約を結ぶときに「賃金、労働時間その他の労働条件を明示しなければならない」と定めています。そのうち次の項目は、原則として書面で(働く人が希望すればメールなどでも)示す決まりです(労働基準法施行規則第5条)。
| 項目 | 確かめること |
|---|---|
| 契約の期間 | 期間の定めがあるか。ある場合、更新の基準と上限 |
| 働く場所と仕事の内容 | 最初の配属先と仕事、将来変わりうる範囲 |
| 労働時間と休み | 始業・終業の時刻、残業の有無、休憩、休日、休暇 |
| 賃金 | 決め方、計算と支払いの方法、締め日と支払日 |
| 辞めるとき | 退職の手続き、解雇の事由 |
2024年4月からはルールが改正され、すべての労働契約で「働く場所と仕事内容の変更の範囲」を、期間の定めがある契約では「更新の上限の有無と内容」を示すことが加わりました。正社員なら「店舗間の異動はあるか、引っ越しを伴うか」がここにあたります。
アルバイト・パートの場合は、これに加えて「昇給の有無」「退職手当の有無」「賞与の有無」「相談窓口」を文書などで示すことが、パートタイム・有期雇用労働法で決まっています(同法第6条、施行規則第2条)。
示された条件が実際と違っていた場合、働く人はすぐに契約を解除できます(労働基準法第15条第2項)。面接では口頭の説明で終わっても、働き始める前に労働条件通知書などの書面を受け取ることを覚えておいてください。
モルゲンの面接・選考
私たちのお店モルゲンの選考は、次のような流れです。
| 区分 | 選考の流れ |
|---|---|
| アルバイト | 一次面接 → 採用(面接は1回) |
| 正社員 | 応募・書類選考 → 面談・面接(1回) → 体験入社・インターン(任意) → 内定・雇用契約 |
正社員の選考では、オンライン面接・リモート面談にも対応し、面接から1週間以内に合否を連絡しています。体験入社は、入る前に現場を見たい方のための任意の機会です。
面接の雰囲気は、お店を選ぶ手がかりにもなります。池袋店のスタッフは、面接のときのことをこう話していました。
面接の時に担当してくれた杉本マネージャーが本当に優しくて、”良いバイト先を見つけたな”と感じたのを覚えています。
— 池袋店アルバイト・榎本 晴哉さん(2026年2月のインタビュー、全文)
条件は採用ページの募集要項に載せています。たとえば五反田・池袋・横浜の3店舗のアルバイトは時給1,300円〜1,600円(22時以降は25%増)、正社員は月給35万円〜42万円(固定残業代20時間分を含み、超過分は別途支給)です。正社員の時間外労働は、2025年10月〜2026年8月の勤怠データの実測で月平均5.3時間(在籍した正社員のべ99人月、いちばん多い人の月でも20.8時間)でした。渋谷の新しいお店は条件が少し違うので、募集要項をご覧ください。
面接で聞かれないはずのこと
厚生労働省は、採用選考は「応募者の基本的人権を尊重すること」と「応募者の適性・能力に基づいて行うこと」を基本とし、適性や能力に関係のない事柄を面接で聞くことは、就職差別につながるおそれがあるとしています。挙げられているのは、たとえば次のような事柄です。
| 分類 | 例 |
|---|---|
| 本人に責任のない事柄 | 本籍・出生地、家族のこと(職業・続柄・健康・学歴・収入など)、住宅の状況、生活環境・家庭環境 |
| 本来自由であるべき事柄 | 宗教、支持政党、思想、人生観・生活信条、尊敬する人物、愛読書や購読している新聞・雑誌、労働組合や社会運動 |
厚生労働省の資料によると、ハローワークに寄せられた指摘の中では「家族に関すること」の質問が多く、面接の空気を和らげるつもりで聞いてしまう例が多いとされています。こうした質問をされたときは、答えたくなければ「仕事に関係のあることでしたらお答えします」と返してかまいません。気になることがあれば、最寄りのハローワークか都道府県労働局に相談できます。
一方で、「シフトに入れる曜日」「深夜に働けるか」「通勤の方法」「年齢(18歳未満かどうか)」は、働く時間や法律上の制限に関わるので、聞かれることがあります。
飲食店のアルバイト面接は何分くらいですか?
お店によって違うので、日程の連絡のときに目安を聞いておくと確実です。アルバイトはシフトの確認が中心で短めに、正社員は経験やこれからの話が加わるぶん長めになる傾向があります。前後の予定には余裕を持たせておくと安心です。
面接に私服で来てくださいと言われたら、何を着ればいいですか?
清潔感のある私服で大丈夫です。襟付きのシャツやブラウスに、きれいめのパンツやスカートを合わせると無難です。ダメージの大きいデニムや部屋着に見える服は避け、爪と髪を整えておきます。
未経験でも飲食店の面接に受かりますか?
未経験を歓迎しているお店は多く、モルゲンでもアルバイト・社員ともに未経験から入った人がいます(店長などの役職は経験者が対象です)。経験が無い場合は、シフトにしっかり入れることや、近い経験(人前で話す、料理をするなど)を具体的に伝えます。
面接で給与や残業のことを聞いてもいいですか?
聞いてかまいません。賃金・労働時間などの労働条件は、雇う側が明示しなければならないと労働基準法で決まっています。「入社前に確認しておきたいのですが」と前置きすると、角が立ちません。
合否の連絡が来ないときはどうすればいいですか?
面接の場で連絡の時期と方法を聞いておくのが確実です。その時期を過ぎても連絡が無ければ、応募した窓口に問い合わせてかまいません。モルゲンの正社員の選考では、面接から1週間以内に合否をお伝えしています。
モルゲンは、株式会社STABBLEが五反田・池袋・横浜で営む「和牛と鮮魚の居酒屋」です。11月下旬には渋谷に妄言(MOWGEN)もオープンします。一緒に働く仲間を募集しています。応募はLINEから受け付けており、店舗責任者またはマネージャーが14:00〜23:00にお返事します。働いているスタッフの話はスタッフインタビューで読めます。