「居酒屋の正社員はきつい」とよく言われます。夜の仕事で、週末は忙しく、人が足りない店では社員に負担が集まります。どれも根拠のない噂ではありません。ただ、どのくらいきついかは店によって大きく違います。残業の時間、休みの日数、固定残業代の中身は、求人票と面接で確かめられます。

この記事では、居酒屋の正社員の仕事と一日の流れ、年収、休みと残業を、公的な数字と法律で見ていきます。あわせて、私たちが営むモルゲンの条件と残業の記録、そこで働く社員の声も、良くないところも含めて紹介します。

この記事の結論

居酒屋の正社員の仕事内容

アルバイトとの違いは、目の前の仕事に加えて「店を回す仕事」を持つことです。役割ごとにまとめると次のようになります。

役割主な仕事
ホール案内、注文、料理とドリンクの提供、会計、お酒の説明、予約の管理
キッチン仕込み(魚をおろす・肉の下処理)、調理、盛り付け、在庫と発注
社員共通アルバイトの教育、シフト作成、売上の確認、衛生管理、開店・閉店の締め
店長店舗の運営全体、人件費・原価の管理、採用、スタッフの育成、本部やマネージャーとの打ち合わせ

小さな店ほど、社員がホールとキッチンの両方に立ちます。モルゲンの店も社員2〜3名の体制で、仕込みから接客、アルバイトの育成までをみんなで分け合っています。

一日の流れ(モルゲンの例)

居酒屋は夕方から夜が営業の中心なので、出勤は昼過ぎからになるのが一般的です。モルゲン(五反田・池袋・横浜)の一日は、だいたい次のような流れです。

時間帯主な仕事
出勤〜開店まで魚をおろす・肉の下処理などの仕込み、発注、予約の確認、ドリンクの準備
開店(17:00または18:00)店と曜日で開店時刻が違います。ご予約のお客様の準備と案内
営業中調理と接客。アルバイトへの声かけと、混み具合に合わせた配置
閉店(22:00または23:00)〜退勤片付け、締めの作業、翌日の仕込みの段取り

シフトは13:00〜23:30の間で組み、実働8時間・休憩60分です。0時を回る深夜営業はしておらず、終電までに帰れるシフトにしています。

居酒屋の正社員と店長の年収

公的な統計で見る相場

厚生労働省の職業情報サイト「job tag」に、居酒屋の仕事に近い職業の数字が載っています。いずれも全国の値です。

職業(job tag)賃金(年収)求人賃金(月額)
飲食店店長(「ハンバーガーショップ店長」のページ)371万円28.9万円
日本料理調理人(板前)379.1万円29.2万円
ホールスタッフ(レストラン)371万円26.2万円

ただし、店長とホールスタッフが同じ371万円になっているとおり、店長だけを切り出した数字ではありません。地域や店によっても差があるので、目安として見てください。

なお、同じページで飲食店店長の有効求人倍率は10.58倍(令和7年度・全国)でした。店長のなり手が足りていないことは、公的な数字にも出ています。

モルゲンの条件

モルゲンの正社員(店長候補)の月給は次のとおりです。

勤務地月給
五反田・池袋・横浜(モルゲン)350,000円〜420,000円
渋谷(妄言/MOWGEN)400,000円〜420,000円

いずれも固定残業代(20時間分・39,000円〜54,687円)を含み、20時間を超えた分は別に支給します。役職ごとの月収の目安は次のとおりです。

役職月収の目安内訳
社員メンバー約35万円固定給35万円〜+インセンティブ+諸手当
副店長約37万円固定給35万円〜+インセンティブ+諸手当
店長約40万円固定給37万円〜+インセンティブ+諸手当

月収は固定給・インセンティブ・諸手当を合わせた目安です。実際に在籍している社員の年収の例は、30代・入社2年目の店長で525万円、40代・入社1年目の副店長で470万円、20代・入社1年目のスタッフで400万円です。

ほかに、年2回の査定による昇給、売上インセンティブと決算賞与(業績による)、役職手当、交通費の全額支給があります。

モルゲンの正社員の募集要項(勤務時間・応募資格・待遇)と、時間外労働の月ごとの記録は、採用ページにすべて載せています。

正社員の募集を見る 社員のインタビューを読む

休みと残業

法律で決まっていること

まず、どの店でも守らなければならない線を確かめておきます。

モルゲンの休みと残業

項目内容
休日月8日(ほぼ完全週休二日)。休日出勤なし
長期休暇年末年始・GW・お盆。2025〜26年の年末年始は4連休
有給休暇理由を問わず取得できます
勤務時間13:00〜23:30の間でシフト制、実働8時間・休憩60分
所定労働時間月平均185時間(特例措置対象事業場のため、法定労働時間は週44時間)
時間外労働求人では月20時間以内が目安。実測は下の表

月185時間という所定労働時間は、週40時間に慣れた人には長く見えるはずです。これは上の特例(週44時間)に当たるためで、残業ではなく所定の時間です。

残業の実際は、勤怠システムの記録から集計しました。対象は2025年10月〜2026年8月の正社員で、在籍は期間中に8名から10名に増えています。

項目実測
時間外労働の平均月5.3時間(99人月)
いちばん多かった月の平均月11.7時間(2026年7月)
1人の最大月20.8時間(2026年7月)
20時間未満だった割合99人月のうち97人月

求人の「月20時間以内が目安」を超えたのは、99人月のうち2回でした。忙しい月はあり、ゼロではありません。なお、10名のうち1名は期間中ずっと時間外が0時間で、この1名を除くと平均は月6.0時間になります。

働く時間で選んで入ってきた社員もいます。

井上康弘

求人情報を見ていく中で、労働時間・給与に魅力を感じて入社を決めました。自身の年齢もあり、労働時間は重視して転職活動していました。
— 池袋店副店長・井上康弘さん(2025年7月のインタビュー、全文)

居酒屋の正社員が「きつい」と言われる理由と実際

よく挙がる理由と、そのうち求人票や面接で確かめられることを並べます。

きついと言われる理由実際に起きていること確かめ方
夜が遅い営業が夜中心で、閉店後の片付けもある。深夜営業の店は終電を過ぎる勤務時間の終わりの時刻と、深夜営業の有無
土日・祝日に休みにくいお客様が多い日が休みの取りにくい日になる休日の日数と、希望休の出し方
残業が長い人が足りないと、社員が穴を埋める固定残業代の時間数と、残業の実績
責任が重い店長不在の店では、若い社員が店を任される店の社員数と、上の人の関わり方
立ち仕事で体力を使う仕込みから営業まで、ほとんど立ち続ける実働時間と休憩時間

店長のなり手が足りていないことは、先ほどの有効求人倍率10.58倍にも出ています。人が足りない店ほど、上の表の負担は社員に集まります。

モルゲンでの対策と、残っていること

モルゲンでしていることは次のとおりです。

一方で、居酒屋の仕事そのものの性質は変わりません。夕方から夜の仕事で、立ち仕事で、週末が忙しい日です。シフト制なので、毎週土日に休める働き方ではありません。2026年7月のように残業が増える月もあります。これらが合わない方には、正直に言って向かない仕事です。

スピードを求められる職場でもあります。提案が取り入れられるまでの早さについて、マネージャーはこう話していました。

杉本大輔

スピード感めちゃくちゃ早いです…働いている側にもスピード感を求められます。
— モルゲン事業部マネージャー・杉本大輔さん(2025年7月のインタビュー、全文)

入社前に「ブラックな面」を覚悟していた社員の話もあります。

野々村瑳希

学生時代に働いていたのはチェーンの居酒屋でしたが、4年間で店長が4回変わりました。長続きしない姿を見てきたので、入社前はある程度“ブラックな面”も覚悟していました。入社して配属された五反田店は当時社員5人体制、アルバイトよりも社員中心の環境でわからないことだらけでもサポートが厚く、とても働きやすかったのを覚えています。
— 横浜店店長・野々村瑳希さん(2026年2月のインタビュー、全文)

社員が話す、この仕事の楽しさ

きついところがあっても続けている理由を、社員はこう話しています。

萩元大海

やっぱり“食材を触っている時”ですね。魚をさばくのが特に好きです。豊洲市場から届く魚は毎回違うので、「今日はどう仕立てようかな」と考えながら下ろすのが楽しいです。
— 池袋店社員・萩元大海さん(2026年2月のインタビュー、全文)

有村蓮

自身の成長につながる、という点が一番大きいです。また、みんなで店舗の成長に向かって挑戦する楽しさも魅力の一つです。
— 五反田店店長・有村蓮さん(2025年7月のインタビュー、全文)

居酒屋の正社員のキャリアパス

一般的には、社員として入り、副店長、店長と上がり、そのあと複数店を見るマネージャー(エリアマネージャー)、本部の仕事、料理長などの専門職、独立に分かれていきます。会社の規模によって、用意されている道は違います。

モルゲンの場合は次のとおりです。

段階モルゲンでの中身
社員メンバー → 副店長 → 店長年2回の査定で決まります。点数ごとの評価基準は、評価される本人がいつでも見られます
マネージャー複数店舗の運営を見ます。臨店して店長・社員に助言する役割です
専門の役割との兼任例えば横浜店の店長は、IT技術に特化したスペシャリスト職を兼任しています(インタビュー当時)
新しい店の立ち上げ2028年までに、さらに4店舗の出店を計画しています
独立独立支援があります。行動指針には「辞めていった人を、悪く言わない」とあります

辞めても手元に残る資格を取る費用も、会社が出しています。対象はHRS検定(接客)、SAKE DIPLOMA(日本酒)、ソムリエ/ワインエキスパート(ワイン)、ビール検定(クラフトビール)の4つで、受験費用は全額会社負担です。ただし合格基準の70%に届かなかった場合は自己負担(点数が公表されない試験は不合格でも5割を補助)、2回目の受験は3割補助、資格取得から6か月以内に退社した場合は全額返金という条件があります。

ほかに、年2〜3回、食材の産地へ行く研修があります。2026年は2月に奈良の酒蔵、4月に熊本・博多の馬刺しの生産者とクラフトビールの醸造所を訪ねました。

飲食店へ転職する前に、求人票で確かめること

  1. 固定残業代の3点が書かれているか。若者雇用促進法に基づく指針(PDF)は、固定残業代を賃金に含める場合、①固定残業代を除いた基本給の額、②固定残業代に関する労働時間数と金額等の計算方法、③固定残業時間を超える時間外労働・休日労働・深夜労働に割増賃金を追加で支払う旨、の3つを明示するよう求めています。月給の額が大きくても、そのうち何時間分の残業代が入っているかで実質は変わります。
  2. 休日の日数と、休日出勤の扱い。「週休2日」と「完全週休2日」は違います。月何日休めるか、長期休暇があるかを見ます。
  3. 勤務時間の終わりの時刻。深夜営業の有無と、終電で帰れるかどうか。
  4. 残業の実績。「目安」だけでなく、実際の平均や最大を聞いてみてください。答えられる会社かどうかも判断材料になります。
  5. 店の社員数と、役職ごとの給与。社員1人で回す店か、複数人いる店かで負担は変わります。入ったあとの給与の上がり方も確かめます。

モルゲンの求人では、固定残業代を「20時間分・39,000円〜54,687円」と時間と金額で書き、超過分は別途支給としています。固定残業代を除いた基本給の額など、求人に書かれていない内訳は、モルゲンに応募される場合も遠慮なく聞いてください。

未経験でも居酒屋の正社員になれますか?

なれる会社はあります。モルゲンにも未経験から入った社員がいます(2026年2月のインタビュー時点で横浜店の店長だった野々村さんは、26歳で未経験から入社しました)。ただ、いま募集している正社員は店長候補で、飲食店での勤務経験3年以上を必須にしています。経験を積みたい方は、アルバイトの募集もご覧ください。

居酒屋の店長の年収はどのくらいですか?

公的な統計(job tag)では、飲食店店長の分類の年収は全国で371万円ですが、店長だけの数字ではなく、店や地域で大きく違います。モルゲンでは店長の月収の目安が約40万円で、在籍する店長の年収の例は525万円(30代・入社2年目)です。

固定残業代が入っている求人は避けたほうがいいですか?

固定残業代そのものは違法ではありません。見るべきは、何時間分でいくらか、それを除いた基本給はいくらか、超えた分が別に支払われるかの3点です。これが書かれていない求人は、応募の前に問い合わせることをおすすめします。

有給休暇は取れますか?

法律では、6か月続けて勤務し8割以上出勤すれば10日付与され、会社は年5日を取らせる義務があります。モルゲンでは、有給休暇は理由を問わず取得できます。

転勤はありますか?

モルゲンでは店舗間の異動はありますが、店舗が東京・神奈川に集中しているため、引っ越しを伴う異動はありません。

まとめ

居酒屋の正社員は、夜の立ち仕事で、週末が忙しい仕事です。その性質は変わりませんが、残業の長さ、休みの日数、固定残業代の中身は会社によって大きく違い、求人票と面接で確かめられます。転職を考えるときは、月給の額だけでなく、その内訳と、残業の実績を聞いてみてください。

モルゲンの条件と、時間外労働の月ごとの記録は採用ページに載せています。働いている社員の話は、インタビューの一覧で読めます。

モルゲンは、株式会社STABBLEが五反田・池袋・横浜で営む「和牛と鮮魚の居酒屋」です。2026年11月下旬には、渋谷に新しいブランド「妄言(MOWGEN)」も開きます。一緒に店をつくる正社員を募集しています。面接は1回で、オンラインでも受けられます。

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